2016年12月18日日曜日

クリスマスイルミに輝く夜に響く、中年達の物語に号泣す

王子基本的に家に篭る生活をしてて、テレビを見ないから、時空の流れからたまに取り残されてるんだよね。
気が付けばもうクリスマスも間近で、そうこうしてるうちに年明けじゃん?
もう年賀状書かないといけない時期じゃん!意味わかんない。

そんな感じで昨日の出費は0ジャパニーズィエンでした♪
(ง •̀_•́)งヨシャ

クリスマスと言えばライトアップとかイルミネーションとかが綺麗だね!

王子たちもね、時空から取り残されないためにも、たまに外の空気を吸いに穴倉から出てきてね、近くで開かれるイルミイベントとかに進出したのぉー!

すっごい綺麗だったよ~(๑˃̶͈̀◡˂̶͈́๑)

巨大ツリーとかね!王子大好きだよ!
まっちゃんはねイルミよりも

出セヤ出セヤ(๑╹ڡ╹๑)トン汁出セヤ?

って感じだったけどねー!



でね

イベントの途中でバンドの演奏とかあったのね。

おやじバンドっていうの?ジャズでね

おじさんおばさん混じってのビッグバンド編成よ!


それで座って聞いてたんだけどもね、

演奏はまあすごく安定してて上手なんだけども、王子たち興味無いし、その演奏の後のビンゴ大会が早く始まって欲しくてそっちばっか気にしてるわけぇー

しかもチョー寒いし!


会場も人はたくさん居るし座って聞いてる人たくさんいるんだけど、がやがやしゃべって騒々しくて、意識はあっちこっちの混沌としてる。
身も蓋も無い言い方をすると、あんま誰も聴いてないの!


でね


でもそこで思ったの。

ここにはストーリーがあるぞってね!


冴えない、っていったら失礼だけどさ、とにかく普通の生活してるおじさんおばさん達が集まってさ、ジャズやるか!?みたいな。

初めは酷いもんだよ。

「あのぉー…バンド…やってみたいんですけどぉ…」

なんて応募してきたおばちゃんが

トランペットってラッパのことですか?っつって

どーやって吹くんですか?っつって


そんなところから始まるストーリーだよコレは!



今王子達の前では、チャーリー浜口と紹介された眼鏡かけた真面目そうな冴えないおじさんが、朗々とサックスソロを披露してるよ。

騒々しい会場にみんな意識はあっちゃこっちゃだけど、耳を傾けてみると、それはそれはしっかりとしたソロプレイで、この中で一体どれくらいの人がちゃんと聴いてるんだって聴衆に向けて、サックスを通して一生懸命情熱的な旋律を歌い上げてるわけ!

チャーリー浜口もこんなプレイができるようになるまで、それはそれは苦労したんだ。

中学校の理科の先生をやってるチャーリーは、学校では生徒から、浜口という名前と、吉本芸人のチャーリー浜に顔がどこか似ているということにちなんで付けられたあだ名で、チャーリーチャーリーと小馬鹿にされながら、放課後音楽室の片隅で毎日練習だよ。
それは幼い頃から体が弱くてなんの取り得も無かったチャーリーが、情熱を傾けるものも無いままに受かった教員試験のままに教師になって早20年、45歳になって初めて見つけた情熱を傾けられるものだった。

でも下手っぴだし、一人ぼっちだし、自分の練習が聴こえる廊下を通り過ぎる生徒から、またチャーリーやってるよという笑いが漏れ聴こえてきて、過ぎ去っていく。

そんなチャーリーはある地元のビッグバンド募集の広告を見つける。
それが、チャーリーと”ビギンジャズビッグバンド”との出会いだった。

チャーリーがジャズに、そしてサックスにのめり込んだのは、学校の図書室にあったチャーリーパーカーのCDをなんとなく借りて演奏を聴いたのがきっかけだった。
かっこいい!こんな風にサックスが弾けたらいいのに。
そしたら自分はもっと自信を持って生きていける気がするし、社会科の酒井先生も振り向いてくれるかもしれない。

そんなチャーリーパーカーの代表曲の名前を冠したビッグバンドに入った彼は、中学教師としての仕事をこなしながら、夜は練習、休日はバンドの練習と精を出し、有る日バンドの中で「そろそろ浜口君にも何かあだ名のようなものが欲しいな。ジャズミュージシャンには、サッチモやバードのように愛称がそれぞれあったんだ。」と言われ、少し考えた後、

「チャーリーでお願いします。」と言った。

こうしてチャーリー浜口が誕生したのだが、そんなバンド活動の中には様々な苦難もあった。

鉄工所を潰して借金にあえぐ男、テナーサックスのジョン鈴元とは、ユニゾンが合わなくて衝突した。
中学教師なんかにジャズは分からねえよと言う偏屈者ギターのジミー阪木に認められるために、コルトレーンの難曲、ジャイアントステップスを悔し泣きしながら何ヶ月も練習した。

そんなチャーリーを、ドラマーでバンマスの湯元グッドマンは静かな言葉で励まし、肩を叩いた。
トランペットを勤める5児の母、マイルスマチコは、小樽のような体をいつも申し訳なさそうに縮めながら、自信無げに、頑張ってくださいね、応援してますと優しい声をかけた。


今、当たり前のようにビギンジャズビッグバンドは、ミスも無くテンポもグルーヴも全員一丸となって、小さなステージの上で演奏していた。
それはほとんどの人にとって、どうでも良い演奏であった。
地元の中年が趣味サークルか何かでやってるんだな~という程度の感想しか持たれ無かったかもしれない。

しかしその会場の隅では、お父さんと二人で30年鉄工所で苦労を共にしたジョン鈴元の嫁が泣いていた。
借金の取立てにわざわざ会場まで詰めかけて来ていたやくざは「もう半年待ってやるか…」と漏らした。

理解なんてしてもらわなくて結構、一人が気楽で一番などと嘯いていた偏屈者、孤独なジミー阪木は、ふとまばらな観客の顔の中に、熱心に自分達の演奏に耳を傾けるかつての女房を見つけて手元が狂った。
仕事もろくにせずに、ジャズだフュージョンだと頭でっかちに評論してみたり、下手なギターにしがみ付き、女に何が分かると啖呵をきった。
そんな自分に愛想を尽かして出て行った嫁が今ここで、何を思うのか。
「あいつ…どういうつもりだ…」
低くつぶやくジミー阪木はしかし、いつも以上に強くピックを握り締めて、地味なバッキング演奏しか与えられていないギターパートだが、一生懸命になってバンドのグルーヴを生み出す事に徹した。

トランペットがソロを始めた。
あのいつも申し訳なさそうに、太った体を縮ませているだけのマイルスマチコが、小樽のような体から生み出した息を目一杯吐き出して、ハイトーンのフレーズを響かせる。
あまりの音量に無関心な観客の幾人かも、ついマチコに目をやって、あのおばちゃんすげーなと言って、感心とも嘲りともつかないような苦笑いのような表情を浮かべた。
しかしマチコは胸を張って目一杯トランペットを吹いた。
ソロが終わると、会場の一角から拍手が上がった。
見ると小さな息子ばかり5人連れた旦那が、子供達と一緒に嬉しそうな表情を浮かべ、手が痛くなるほど拍手していた。

12月の夜、寒空のもと汗を滴らせてドラムを叩く湯元グッドマンは、愛する嫁と4年前に死別していた。
初めの1年間は廃人のようだった。
仕事を辞め、何の目的も無く、焦点を失った毎日が過ぎていった。
2年目の夏に自分達の地元、熱海を一人彷徨った。
二人は学生時代に地元の高校で出会った。湯元も湯元の嫁も、人生で初めて付き合った人と、結婚して、そしてその27年後、片方がガンで死んだ。
熱い刺すような日差しを受けながら、流れ落ちる汗を気にも留めずに小高い丘を登っていく。
ハアハアという息の音だけが頭に木霊し、流れる汗が全てを洗い落としていくようだった。
倒れこむように座った丘の上、眼下に広がる熱海の海は、太陽の光を反射させて輝いていた。
海は途方も無く大きく、その途方の無さだけが、湯元を慰めることができるかのように、湯元はただじっと海を眺めていた。
その年の暮れ、湯元は30歳まで夢中になって叩いていたドラムの前に座っていた。
妻が妊娠を告げた年、湯元はドラムに託した20年来の夢を喜んで手放した。
その夢の続きが、スティックを伝ってスネアドラムに力強い振動を与えた。
スカン!っと、抜けるようなスネアドラムの音が湯元の体を突き抜けていく。
湯元の目があの日見た熱海の海のきらめきを写していた。

今湯元の前には、冬を彩るイベントのネオンが輝いている。
家族連れ、カップル、若い学生の集団や、走り回る子供達。湯元の息子もまたそこに居た。
もう立派に成人していて、親の手を離れていた。

湯元は夢中でドラムを叩いた。
2年前から細々とメンバーを募集し、公民館などを借りて練習を繰り返してきたジャズバンドが、今ではこんな立派な演奏をしていた。
たこ焼きやカステラの香りに満ちた賑やかな会場の中に、湯元が最もこの音を聴かせたい相手は居ない。
しかし湯元は叩かずにいられなかった。
それはいつか妻に会うその日まで、強く生きねばならないことと同じ事だった。

チャーリー浜口が最後のソロプレイを歌い上げる。
チャーリーと言って馬鹿にしていた生徒達が会場に居た。
初めはチャーリーだチャーリーが出てきたぞとにやにやしていた生徒達の顔から、いつしか笑いは消え、真剣に聴き入っていた。
難所の上昇アルペジオを完璧に吹ききったチャーリー浜口の演奏に、不覚にも鳥肌が立った者も居たが、それを友達に伝えることは、どこか恥ずかしくてできなかった。
そのチャーリー浜口を、真正面から優しいまなざしで見つめる人が居た。
同じ中学校で教鞭を取る、社会科の酒井先生だった。

チャーリーのソロの後、ホーンセクションのユニゾンがあった。
チャーリー浜口とジョン鈴元のユニゾンは完璧だった。
ジョンが思わずニヤっとチャーリーを一瞥し、チャーリーは気恥ずかしそうに笑顔を見せ、演奏はクライマックス、全員の音を合わせた最後の和音が収まった時、イベントのいち余興でしかない小さな演奏会はまばらな拍手と共に幕を閉じた。

しかしそのまばらな拍手の中には、心から拍手を送るいくつかの視線が含まれていた。

ビギンジャズビッグバンドのメンバーは、皆それぞれにそれぞれの想いを胸に抱き、それぞれの笑顔を浮かべて拍手に応え、すごすごと退場していった。

「さあ!いよいよビンゴだぞ!」

会場からはそんな声が聞こえてくる中、しかし王子は、号泣して拍手を送り続けていたのであった。



おわり





まっちゃん「王子どぉした?(•́д•̀)」


【今月残り】6120円(どぉーん

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チャーリーと酒井先生は幸せになりました。
( ´◡` )۶

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